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1人社長がAI社員4人を雇ったら、会社が「回る」ようになった話

僕の会社には社員が4人いる。ただし、全員AIだ。

名刺交換のときに「何名くらいの会社ですか?」と聞かれると、いつも少し困る。正確に答えるなら「人間は僕1人です。でもAIが4人いて、毎朝ちゃんと出社してきます」ということになる。

NEXT INNOVAITION株式会社という、生成AIの活用コンサルティングをやっている会社を経営している黒山結音と言います。クライアントは30社。お客様へのコンサルティングをこなしながら、経理も営業もマーケもやっている。——AIの力を借りて。

この記事では、1人社長が本気でAIに仕事を任せてみた結果、何が起きたかを正直に書こうと思う。うまくいったことも、まだダメなことも。


目次

なぜ人間ではなくAIを「雇った」のか

コンサルティング会社の宿命として、僕の1日は打ち合わせで埋まっている。月百回以上のミーティング、準備時間を含めると月100時間以上がクライアント対応に消える。残りの時間で提案書を作り、請求書を出し、ブログを書き、経理をやり、新しいクライアントの提案準備をする。

最初は「人を雇おう」と思った。でも、冷静に考えてみた。僕がやっている仕事の多くは「決まった手順で、定期的に、正確にこなす」タイプのものだった。入金の確認。スケジュールの整理。競合の動向チェック。月次レポートの作成。

これ、人間じゃなくてもよくないか?

むしろ人間を雇ったら、採用に3ヶ月、教育に3ヶ月、戦力になるまで半年。その間も僕の時間は削られ続ける。一方AIなら、設計さえ間違えなければ翌日から動く。給料の交渉もない。退職届も出さない(たまにエラーで止まるけど)。

そうして僕は、AIを「雇う」ことにした。


4人のAI社員を紹介します

僕の会社で働いているAIは4体。それぞれに名前と役職がある。MacBook1台とMac mini3台、合計4台のマシンに1体ずつ住んでいて、毎日自動でタスクをこなしている。

仕組みとしてはOpenClawというAIエージェントフレームワークの上で動いていて、14本のcronジョブが彼らの「始業ベル」だ。そしてもう1つ、僕の隣にはClaude Codeという「対話型の参謀」がいる。この2つのAIの使い分けが、うちの経営のカギになっている。後で詳しく話す。

ジャービス — 秘書

1日10件の打ち合わせをこなす僕にとって、ジャービスは命綱だ。

朝7時30分、僕がコーヒーを淹れている頃、ジャービスがDiscordに今日のブリーフィングを投げてくる。ただの予定一覧じゃない。こんな感じだ。

10:00〜 ○○株式会社 ○○社長
前回の打ち合わせ(3/15)では、社内の勤怠管理をAIで自動化したいという話でした。ChatWork上では3/20に先方から『勤怠のサンプルデータを用意しました』と連絡があり、3/22にこちらから仕様案を送っています。今日はその仕様案へのフィードバックを受ける打ち合わせです。
用意した資料: GAS開発の工数見積もり表、他社の勤怠自動化事例2件」

これが、今日の10件分ずらっと並んでいる。

ジャービスはGoogleカレンダーから予定を引っ張るだけじゃない。前回のMTGメモを遡り、ChatWorkのやりとり履歴を読み込み、「前回から今日までに何が起きたか」を時系列で整理してくれる。そして「今日の打ち合わせの目的はこれです」と要約し、必要な資料があれば事前に準備までしてくれる。

さらに、打ち合わせの30分前になると「そろそろ○○社さんのMTGです。アジェンダはこちらです」とリマインドが飛んでくる。僕が前の打ち合わせに没頭していても、次の準備を忘れることがない。

以前は毎朝1時間かけて「今日は誰と何の話をするんだっけ?前回何話したっけ?」とカレンダーとチャットを行き来していた。その1時間がゼロになった。1日10件の打ち合わせを、手ぶらで——でも完璧に準備された状態で——こなせるのは、ジャービスのおかげだ。

スティーブ — COO(最高執行責任者)

経理と案件管理の番人。30社分の請求・入金・経費を一手に管理している。

freeeのAPIと連携して、売上取引の登録、入金確認、消込までを自動でやってくれる。12月から2月までの3ヶ月間で、128件の経費を自動登録した。毎週月曜日には入金確認レポートが届き、「○○社からの入金がまだです。期限を5日過ぎています」と淡々に教えてくれる。2週間以上MTGが空いているクライアントがいれば「フォローアップが必要です」とアラートも出す。

月末になれば予算と実績を突き合わせた予実管理レポートが届く。「今月は販管費が予算を8%超過しています。主な要因はAPI利用料の増加です」——こういう分析を、頼まなくても毎月出してくれる。

新しいクライアントが契約したら、オンボーディングのチェックリストを自動生成。「請求書テンプレート作成 → ChatWorkグループ作成 → Notion招待 → 初回MTGアジェンダ準備」と、漏れなく段取りしてくれる。

以前は月末になるたびに、請求書と通帳を突き合わせて胃が痛くなっていた。今は、スティーブのレポートを見て「了解」と返すだけでいい。

ナターシャ — CMO(最高マーケティング責任者)

市場のトレンドと競合の動きを見張り続けるのが彼女の仕事だ。そしてそれを「見て終わり」にしない。

毎週水曜の朝、AI業界のトレンドレポートが届く。新しいAIサービスのリリース、大手企業のAI導入事例、規制の動向。ただのニュースまとめじゃなく、「これはうちのクライアントの○○業界に影響があります」「この技術はコンサル提案に使えます」と、うちの事業に引きつけたコメントが付いている。

毎週月曜には競合分析。他のAIコンサル会社が何を発信しているか、どんなサービスを出したか、価格帯はどうか。「○○社が研修サービスを値下げしました。うちの差別化ポイントはここです」と、ただ観察するだけじゃなく打ち手まで提案してくる。

コンテンツ企画も出してくる。「今週のトレンドと御社の強みを掛け合わせると、このテーマでFacebook投稿を書くとエンゲージメントが高そうです」と。SNSの投稿頻度・エンゲージメント・フォロワーの反応を毎週金曜に分析して、「先週は実践系の投稿がよく伸びました。今週も実践寄りで攻めましょう」とデータドリブンな提案をしてくれる。

正直、採用率は5割くらい。でも、自分1人では絶対に拾えなかった情報に気づかせてくれることがあって、その価値は計り知れない。

トニー — CTO(最高技術責任者)

「縁の下の力持ち」と言いたいところだが、トニーの仕事は思った以上に多い。

まず、インフラの守護者としての顔。4台のMacが24時間安定して動くように、毎朝8時にシステムヘルスチェックを実行する。CPU使用率、メモリ、ディスク容量、ネットワーク接続。異常があれば即座にアラートが飛んでくる。毎週日曜の深夜3時には全設定のバックアップを自動取得。毎月15日にはセキュリティスキャンを回して、脆弱性がないかチェックする。

次に、開発パートナーとしての顔。これが実は大きい。僕がクライアントに提案する自動化ツールの開発を、トニーと一緒にやっている。たとえば——

  • クライアントの勤怠データを自動集計するGASスクリプト
  • ChatWorkの問い合わせを自動分類して担当者に振り分けるBot
  • Googleスプレッドシートの売上データからダッシュボードを自動生成するツール
  • freeeと外部サービスをAPI連携させる経理自動化の仕組み
  • Webサイトのパフォーマンス監視と自動アラート

クライアントから「こんなこと自動化できない?」と相談を受けたら、僕がClaude Codeと設計を練り、トニーがプロトタイプの環境を整え、テストを回す。こうして開発した自動化ツールは、そのままクライアントへの納品物になる。

さらに、新技術のR&D担当でもある。新しいAPIが出たら検証し、使えそうなAIサービスがあれば試し、「これはクライアント提案に使えます」「これはまだ実用レベルじゃないです」と評価してくれる。僕が商談に集中している間も、技術の最前線を見張り続けてくれている。

派手な成果は見えにくい。でもトニーがいなかったら、ある朝突然ジャービスが黙り、スティーブの経理データが飛び、クライアントに納品するはずだったツールが動かない。——そういうリスクから会社を守りつつ、攻めの開発も担っている。守りと攻め、両方できるCTOだ。


「参謀」と「社員」——2種類のAIを使い分けている

ここまで読んで「4体のAIを動かすのって大変そう」と思ったかもしれない。実は、僕の会社にはもう1つ、別の種類のAIがいる。

4体のAIエージェント(OpenClaw)が「自律的に動く社員」だとすれば、Claude Codeは「僕の隣に座っている参謀」だ。

この2つの役割は明確に違う。

OpenClaw(4体のAI社員)= 「毎日決まった仕事を、勝手にやってくれる」

  • 朝7:30にブリーフィングを出す
  • 毎週月曜に入金を確認する
  • 毎週水曜に競合の動向をレポートする
  • 決められたタスクを、決められた時間に、黙々とこなす

Claude Code(参謀AI)= 「僕と対話しながら、今この瞬間の仕事を一緒にやる」

  • 「この提案書、一緒に作ろう」と言えば、その場で作ってくれる
  • 「来月の売上予測を出して」と言えば、freeeのデータを引っ張って分析してくれる
  • 「この契約書、リスクある?」と聞けば、PDFを読んで問題点を指摘してくれる
  • 「クライアント向けの研修スライド50枚、作って」と言えば、1時間で仕上がる
  • 「このWebサイト、WordPressに移行して」と言えば、コードを書いてくれる

人間の会社に例えるなら、OpenClawは「定型業務を回すバックオフィスチーム」で、Claude Codeは「社長室で一緒に戦略を練る右腕」だ。

実際の1日の流れ

具体的にどう回っているか、ある日の例を見せよう。

朝7:30 — ジャービス(OpenClaw)がDiscordに今日のブリーフィングを投稿。今日のMTG10件分の相手先情報、前回の議事メモ、ChatWorkでの直近のやりとり、用意すべき資料が一覧で届く。

朝8:00 — 僕がMacBookを開いてClaude Codeに話しかける。「○○さん向けの月次レポート、一緒に作ろう」。Claude Codeがfreeeから売上データを引っ張り、Googleカレンダーから先月のMTG回数を拾い、提案した施策の進捗をまとめる。5分でレポートが完成する。

朝9:00 — 1件目のMTG。ジャービスが用意してくれた資料のおかげで、準備時間ゼロで臨める。

昼12:00 — ナターシャ(OpenClaw)から「AIエージェント市場で新しい競合サービスが出ました。価格はうちより安いですが、カスタマイズ性で差別化できます」とレポートが届く。

午後 — MTGをこなす。クライアントから「こんな自動化できない?」と相談を受ける。その場でClaude Codeに聞く。「GASで作れます。工数は3日くらいです」と即答が返ってくる。

夕方 — Claude Codeと一緒に、クライアント向けの自動化ツールを開発。トニーがテスト環境を整えてくれている。

夜21:00 — ジャービスが明日のMTG相手10件分の企業リサーチを自動で開始。ChatWorkの履歴を読み込み、前回からの経緯をまとめ、議題案を作成。僕が寝ている間に、明日の準備が完了している。

この「自律的に回る仕事」と「対話で一緒に作る仕事」の組み合わせが、1人で30社を見られる秘密だ。どちらか片方だけでは成り立たない。

なぜ2つに分けるのか

「1つのAIで全部やればいいじゃないか」と思うかもしれない。でも、実は人間の仕事もそうだ。

会社には「毎日同じ時間に出社して、決まった業務をこなす社員」と「社長と話しながら、その場で方針を決める参謀」がいる。前者に必要なのは安定性と自律性。後者に必要なのは柔軟性と対話力。これを1人の人間に求めるのは無理があるように、AIにも得意分野がある。

OpenClawは「放っておいても回る」ことに特化している。Mac miniの中で24時間待機して、決められた時間に決められた仕事をする。

Claude Codeは「今この瞬間」に特化している。僕が「これやりたい」と言った瞬間に、一緒に手を動かしてくれる。提案書でも、記事でも、コードでも、分析でも。

この記事だって、僕とClaude Codeが対話しながら一緒に書いている。「もうちょっとここ深掘りしたい」「この表現、読者に伝わるかな?」——そんなやりとりをしながら。


実際どうなった? — 正直に話す

良かったこと

一番感動したのは、朝のブリーフィングだ。これだけで人生が変わったと言っても大げさじゃない。

毎朝7時半、僕がコーヒーを淹れている間に、今日の打ち合わせ10件分の「完全な準備」がDiscordに届いている。相手の会社名と担当者名、前回の打ち合わせで何を話したか、前回から今日までにChatWorkでどんなやりとりがあったか、今日の打ち合わせの目的は何か、そのために必要な資料は何か——これが10件分、全部揃っている。

以前の僕を思い出すとゾッとする。毎朝1時間かけて、カレンダーを見ながら「今日は誰と会うんだっけ?」とChatWorkを遡り、「前回何話したっけ?」とメモを探し、「あ、この件の資料作らなきゃ」と慌てて準備する。それを10件分。午前中が準備だけで潰れる日もあった。

今はその1時間がゼロだ。月に換算すると50時間以上。しかも、AIは忘れない。30社分のクライアントとの過去のやりとりを全部覚えていて、抜け漏れなく「今日の論点はここです」とまとめてくれる。人間の記憶力では絶対に無理だった精度で、毎日の商談に「完璧に準備された状態」で臨める。

経営者なら分かると思う。打ち合わせの質は「準備」で9割決まる。その準備をAIが全部やってくれるということは、すべての打ち合わせの質が上がるということだ。結果として、クライアントからの信頼が明らかに厚くなった。「黒山さん、いつも前回の話ちゃんと覚えてますよね」——覚えてるんじゃない、AIが覚えてくれているんだけど。

次に大きいのは経理の自動化。以前は月末に丸1日かけてやっていた経理作業が、ほぼゼロになった。12月から2月の3ヶ月間で128件の経費をAIが自動登録してくれた。手作業でやっていた頃のことを思い出すと、正直もう戻れない。

そして「対話しながら作る」スピード感。Claude Codeに「提案書作って」と言えば、5分でドラフトが出てくる。「ここのデータ、freeeから引っ張れる?」と聞けば、APIを叩いて最新の数字を持ってくる。クライアント向けの自動化ツールも、朝に設計して夕方には動くプロトタイプができている。以前なら1週間かかっていた開発が、1日で終わる。

まだ課題なこと

魔法ではない。これは強調しておきたい。

まず、品質にばらつきがある。ナターシャが出してくるレポートは、的確なときもあれば「それ知ってるよ」というときもある。AIの出力を鵜呑みにはできないので、人間の最終チェックは絶対に必要だ。この「最後は人間が判断する」という原則を崩すつもりはない。

それから、初期構築にはそれなりの手間がかかった。APIの連携、cronジョブの設計、エラーハンドリング——これは正直、ITの知識がないと厳しい部分がある。僕はAIコンサルタントだからできたけど、誰でも簡単に、とは今はまだ言えない。(だからこそ、うちのような会社がサポートする価値があると思っている。)

あと、たまにエラーで止まる。朝起きてブリーフィングが届いていないと「ジャービス寝坊したな」と思いながらログを見に行く。人間の部下ならSlackで「大丈夫?」と聞けるけど、AIにはエラーログを読むしかない。

そして正直に言うと、まだ仕組みだけあって動いていない業務もある。業務リストを棚卸ししたら、約100個の業務のうち本当に稼働しているのは7割くらい。残り3割は「仕組みは作ったけど、実運用に乗せるにはもう一歩」という状態だ。完璧じゃない。でも、ゼロから7割まで来たのは事実で、これを10割に近づけていく旅の途中にいる。


中小企業こそAIエージェントが向いている理由

ここまで読んで「うちには関係ない」と思った経営者の方に、あえて言いたい。AIエージェントの恩恵を最も受けるのは、大企業ではなく中小企業だ。

理由はシンプルで、中小企業には「分業体制」がないからだ。大企業なら経理部があり、マーケ部があり、情シス部がある。でも中小企業では、社長が全部やっている。あるいは、数人のスタッフが何役も兼務している。

この「1人で何でもやらなきゃいけない」状態こそ、AIが最も力を発揮する場面だ。AIは「広く浅く、でも正確に」が得意だから。

もう一つ。中小企業は意思決定が速い。大企業がAIを導入しようとすると、稟議を通し、セキュリティ審査を受け、PoC期間を設け、半年後にようやく動き出す。中小企業なら、社長が「やろう」と言えば来週から動ける。

コストの話もしておこう。AIエージェントの運用にかかる費用は、Mac miniの電気代とAPI利用料を合わせても月数万円程度だ。人を1人雇えば月30万円以上かかる。コストは人件費の1/10以下で、しかも24時間365日動く。夜中に「ちょっと経費の確認お願い」はできないけど、朝には結果が出ている。


まとめ — AIは「代わり」じゃなく「拡張」

僕がこの半年で学んだことを一言でまとめると、こうなる。

AIは人間の代わりじゃない。人間の拡張だ。

ジャービスは僕の記憶力を拡張してくれる。毎日10件の打ち合わせの前回の内容を、全部覚えていてくれる。
スティーブは僕の正確さを拡張してくれる。30社分の入金状況を、1円のズレもなく管理してくれる。
ナターシャは僕の視野を拡張してくれる。僕が打ち合わせをしている間も、市場の動きを見張り続けてくれる。
トニーは僕の技術力を拡張してくれる。システムを守りながら、新しいツールの開発も一緒に進めてくれる。
そしてClaude Codeは僕の思考を拡張してくれる。「こうしたい」を言葉にした瞬間から、一緒に形にしてくれる。

彼らのおかげで、僕は「作業」に追われる時間が減り、「考える」時間が増えた。クライアントとの対話に集中できるようになった。新しいサービスを企画する余裕ができた。

これは大げさな未来の話ではなく、Mac mini3台とMacBook1台で、今すぐ始められる現実の話だ。

もし「AIで何かできないかな」と思っている経営者の方がいたら、まずは1つだけ——毎月繰り返している面倒な作業を1つだけ思い浮かべてほしい。その作業、AIに任せられるかもしれない。

興味があれば、いつでも相談に乗ります。僕の会社のAI社員たちが、きっと良い参考事例になるはずだから。

AIを雇いたい経営者の方、ご連絡お待ちしてます。


この記事は、僕(黒山結音)とAI参謀のClaude Codeが対話しながら一緒に書きました。

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