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OpenClaw講座 第5回:Googleサービス連携とメール処理の自動化

以前、このブログで「Claude × GAS × Geminiで作るGmail返信の完全自動化マニュアル」という記事を公開しました。スプレッドシートで返信基準を管理し、15分おきにメールを自動チェックして下書きを作るシステムです。実際に使ってみると、メール対応の負担はかなり減りました。

ただ、あのシステムには一つ前提がありました。「Gmailを開いて、下書きを確認して、送信ボタンを押す」という作業が残ること。結局Gmailは見に行かないといけない。

OpenClawを使い始めてから、この前提が変わりました。

今はDiscordからメールの確認も返信指示もできます。重要なメールが届けば、OpenClawがDiscordで知らせてくれる。正直に言えば、Gmailを直接開く頻度は大幅に減りました。

今回は、OpenClawとGoogleサービスを連携させるためのツール「gogcli」の導入方法と、メール処理を中心とした実際の使い方を解説します。

前回の記事はこちら:OpenClaw講座 第4回:Discord連携|AIエージェントと会話できる環境を構築する

目次

gogcliとは

gogcli(gog)は、Gmail・Googleカレンダー・Googleドライブなど、複数のGoogleサービスをコマンドラインから操作できるツールです。

OpenClawのエージェントは、このgogcliを通じてGoogleサービスにアクセスします。つまり、gogcliを入れることで、OpenClawが「メールを読む」「返信を送る」「カレンダーを確認する」といった操作をできるようになります。

今回はメール操作に絞って解説しますが、セットアップの際にはカレンダーやドライブなど他のAPIもまとめて有効化しておきます。次回(第6回)のスケジュール管理でもそのまま使えるためです。

gogcliのセットアップ

Step 1:gogcliのインストール

ターミナルを開いて、以下のコマンドを実行します。

brew install steipete/tap/gogcli

Homebrewが入っていない場合は、第2回の環境構築ガイドを参照してください。

Step 2:Google Cloud ConsoleでOAuth認証を設定する

gogcliがGoogleサービスにアクセスするには、OAuth認証の設定が必要です。少し手順が多いですが、一度やれば以降は自動でトークンが更新されます。

2-1. Google Cloud Consoleにアクセス

Google Cloud Console(https://console.cloud.google.com/)にアクセスし、Googleアカウントでログインします。プロジェクトがなければ新規作成してください。

2-2. OAuth同意画面の設定

左側のメニューから「APIとサービス」→「OAuth同意画面」を選択します。

  • User Typeで「外部」を選択して「作成」
  • アプリ名:任意(例:gogcli)
  • ユーザーサポートメール:自分のメールアドレス
  • デベロッパーの連絡先情報:自分のメールアドレス
  • 「保存して次へ」でスコープ設定はスキップ
  • テストユーザーに自分のGmailアドレスを追加
  • 「保存して次へ」→「ダッシュボードに戻る」

2-3. OAuthクライアントIDの作成

左側のメニューから「APIとサービス」→「認証情報」を選択します。

  • 「+ 認証情報を作成」→「OAuthクライアントID」
  • アプリケーションの種類:「デスクトップアプリ」を選択
  • 名前:任意(例:gogcli)
  • 「作成」をクリック
  • 「JSONをダウンロード」→ client_secret_XXXXX.json が保存される

このJSONファイルには認証情報が含まれます。外部に公開しないよう注意してください。

2-4. 必要なGoogle APIの有効化

Google Cloud Consoleの「APIとサービス」→「ライブラリ」から、以下のAPIを検索して有効化します。今回使うのはGmail APIだけですが、次回以降の講座でも使うため、まとめて有効化しておくことを推奨します。

  • Gmail API
  • Google Calendar API
  • Google Drive API
  • Google Tasks API
  • Google Sheets API
  • Google Docs API
  • Google Contacts API(People API)
  • Apps Script API

Step 3:gogcliに認証情報を登録する

ダウンロードしたJSONファイルをgogcliに登録し、Googleアカウントを認証します。

# JSONファイルをgogcliに登録
gog auth credentials ~/Downloads/client_secret_XXXXX.json

# Googleアカウントを追加(ブラウザが自動で開く)
gog auth add your-email@gmail.com

ブラウザが開き、Google認証画面が表示されます。

  • 自分のGoogleアカウントを選択
  • 「このアプリはGoogleで確認されていません」と表示される場合 →「詳細」→「(安全ではないページ)に移動」をクリック
  • 要求される権限を確認し、「許可」をクリック

「認証が完了しました」と表示されれば成功です。自分で作成したOAuthクライアントなので、「安全ではない」という警告は問題ありません。

Step 4:動作確認

認証が完了したら、メール一覧を取得してみます。

# 認証済みアカウントの確認
gog auth list

# メール一覧の取得テスト
gog gmail list

メールの一覧が表示されればセットアップ完了です。

Discordからメールを操作する

gogcliの設定が終わると、OpenClawのエージェントがGmailにアクセスできるようになります。操作はDiscordからチャットで指示するだけです。

実際の使い方

未読メールの確認

「未読メールを5件見せて」

エージェントがgogcliを実行し、未読メールの件名・送信者・受信日時をDiscordに返してくれます。Gmailを開く必要はありません。

メールの返信

「田中さんのメールに『承知しました。明日中に対応します』と返信して」

エージェントが該当メールを特定し、返信を作成します。ここで重要なのは、運用ルールとして「下書きとして保存し、送信前に確認する」フローにしておくことです。この点は後述します。

メールの検索

「先週届いた見積もり関連のメールを探して」

特定の条件でメールを検索し、結果を報告してくれます。

これらの操作は、以前GAS × Geminiで作ったシステムでは「自動で回る仕組み」でした。OpenClawの場合は「会話で指示する」形になります。どちらが優れているという話ではなく、用途が異なります。定型的な処理を決まったルールで回すならGAS版、状況に応じて柔軟に対応したいならOpenClaw版が向いています。

重要メールの自動通知をHEARTBEAT.mdに設定する

「Discordから指示する」だけでは、メールが届いたことに気づけません。ここでHEARTBEAT.mdの出番です。

HEARTBEAT.mdに「メールチェック」を追加することで、エージェントが定期的に未読メールを確認し、重要なものがあればDiscordで通知してくれるようになります。

推奨テンプレート

# HEARTBEAT.md

## 毎回チェック
- 未対応タスクの確認
- 重要な通知の確認
- 未読メールの確認 → 緊急性の高いメール(件名に「至急」「緊急」「URGENT」を含む、または重要な取引先からのメール)があればDiscordで報告

## メール通知ルール
- 件名と送信者のみを報告する。本文は報告しない
- 通知済みのメールは繰り返し報告しない
- 営業メールやニュースレターは通知対象外

## サイレント時間
23:00〜7:30は緊急時のみ通知。

ここで書いているのは「推奨テンプレート」です。実際の運用では、自社の業務に合わせてキーワードや通知条件を調整してください。

HEARTBEAT.mdの書き方や設定変更後の反映方法(openclaw gateway restart)については、第3回で解説しています。

通知だけにとどめる理由

HEARTBEAT.mdには「未読メールがあったら自動で返信を作成する」と書くこともできます。ただし、私はあえて「通知だけ」にしています。

理由は2つあります。

1つ目は、メールの内容を見ずに返信の要否を判断できないケースが多いこと。件名だけでは判断できない微妙なメールは、結局人が読んで指示を出す必要があります。

2つ目は、自動返信の暴走リスクです。第4回のDiscord連携でも触れましたが、OpenClawのエージェント同士が反応し合って無限ループに陥ることがあります。メールの自動送信で同じことが起きたら、取引先に大量のメールが飛ぶ最悪の事態になりかねません。

通知を受け取る → Discordで内容を確認する → 必要なら返信を指示する。この流れが、現時点では最もバランスの取れた運用だと考えています。

能力モードの確認

gogcliを使うには、OpenClawの能力モードが「full」になっている必要があります。第2回の環境構築ガイドで設定済みの方は問題ありませんが、念のため確認しておきましょう。

cat ~/.openclaw/openclaw.json | grep profile

"profile": "messaging" と表示された場合は、以下のコマンドで変更します。

sed -i.bak 's/"profile": "messaging"/"profile": "full"/' ~/.openclaw/openclaw.json

変更後はゲートウェイを再起動してください。

openclaw gateway restart

従量課金に関する注意

2026年4月のAnthropic仕様変更により、Claudeのサブスクリプション(Pro/Max)ではOpenClaw等のサードパーティツールが従量課金に変更されました。

HEARTBEAT.mdでメールチェックを高頻度に設定すると、その分APIコストが発生します。チェック間隔は業務の緊急度に合わせて調整し、不要な頻度にしないことが大切です。

また、コストを抑えたい場合はChatGPT(Codex)をバックエンドにする方法もあります。詳しくは第2回の環境構築ガイドで解説しています。

よくあるトラブルと対処

「このアプリはGoogleで確認されていません」と表示される

Google Cloud ConsoleでOAuth同意画面を設定した際に、テストユーザーとして自分のGmailアドレスを追加し忘れている可能性があります。「APIとサービス」→「OAuth同意画面」→「テストユーザー」で追加してください。

gog gmail list でエラーが出る

Gmail APIが有効化されていない可能性があります。Google Cloud Consoleの「APIとサービス」→「ライブラリ」でGmail APIを検索し、有効になっているか確認してください。

OpenClawのエージェントがgogcliを認識しない

能力モードが「messaging」のままになっていないか確認してください。「full」に変更し、openclaw gateway restart で再起動が必要です。

まとめ

今回はgogcliの導入と、OpenClawでのメール操作について解説しました。

ポイントを整理します。

  • gogcliを入れることで、OpenClawがGmail・カレンダー・ドライブなどのGoogleサービスにアクセスできるようになる
  • メールの確認・返信はDiscordからチャットで指示できる
  • HEARTBEAT.mdに設定を追加すれば、重要メールの自動通知も可能
  • 自動送信はリスクが高いため、通知+手動指示の運用を推奨

以前紹介したGAS版の自動返信システムは「決まったルールで自動処理する」仕組みでした。OpenClaw版は「エージェントに話しかけて柔軟に対応する」スタイルです。どちらが合うかは業務の性質によりますが、両方を使い分けている企業もあります。

次回(第6回)では、gogcliの導入が済んでいる前提で「スケジュール管理の完全自動化」を解説します。カレンダーの確認・調整をDiscordから行う方法と、HEARTBEAT.mdでの予定リマインドの設定を取り上げます。


80台以上のOpenClaw導入を支援してきた経験から言えるのは、メール処理の自動化は「全部自動にする」よりも「通知と簡単な操作を自動化して、判断は人がする」くらいのバランスが長続きするということです。

OpenClawを使ったGoogleサービス連携について、自社の業務に合わせたカスタマイズや導入支援をご希望の方は、お気軽にご相談ください。

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