全国約90施設・累計53,000件を支える無痛MRI乳がん検診の裏側で──ドゥイブス・サーチ社、OpenClaw導入1ヶ月レポート
「1日100通のメール」が、AIによる返信下書きに。書類自動生成・業界ニュース収集まで──導入1ヶ月で、5本のパイプラインが稼働を始めた。
「がんを、小さいうちに見つける」──。
株式会社ドゥイブス・サーチは、DWIBS法を応用した無痛MRI乳がん検診「ドゥイブス・サーチ」を全国の提携医療機関で展開する企業です。無痛MRI乳がん検診は、乳房を強く圧迫せず、造影剤を使わず、放射線被ばくなくMRIで乳房を撮影する検診方法で、「痛みが苦手」「乳房を見られることに抵抗がある」「被ばくが気になる」方にとって、新しい選択肢となる検診です。
株式会社ドゥイブス・サーチが掲げる理念 “Think Small” は、いま日本の乳がん検診のあり方を静かに、しかし確実に変えつつある。同社が提供する無痛MRI乳がん検診は、全国約90の医療機関に導入され、累計検査件数は2025年8月時点で53,000件を超えています。また、ドゥイブス・サーチ公式のがん発見率に関する説明では、無痛MRI乳がん検診における乳がん発見率は1,000人あたりおよそ15人前後とされています。なお、対象者や検査条件が異なるため、マンモグラフィなど他の検査と単純に直接比較することはできません。詳しい導入参考資料は、公式の診断成績でも確認できます。
女性の身体に寄り添い、早期発見によって最小限の治療で済む社会を目指す。その理念を、全国規模で日々のオペレーションに落とし込んでいるのが、ドゥイブス・サーチ社の現場。
しかし、その裏側では──1日100通のメール、ひっきりなしの問い合わせ、申込書・見積書・工程表の作成。社会的意義のあるサービスを支える事務業務は、想像以上に膨大だった。
2026年3月末、ドゥイブス・サーチ社は静かに、ひとつの実験を始めた。それが OpenClawと Mac mini による、業務AI化プロジェクトである。導入から1ヶ月。同社の現場では、いま何が起きているのか。
※本事例におけるAI活用は、問い合わせ対応、契約関連業務、書類作成、情報収集などの事務業務を対象としており、個人を特定できる患者情報や診療情報は入力していません。OpenClawは医師の診断や読影判断を代替するものではなく、医療機関運営を支えるバックオフィスAIとして活用されています。
ドゥイブス・サーチと高原クリニックの関係
ドゥイブス・サーチは、無痛MRI乳がん検診を受けられる全国の病院・診療所を検索・予約できるサービスです。一方、高原クリニック イノベーティブスキャンは、画像診断・検査に特化したクリニックです。
高原太郎医師は、MRIによるがんスクリーニング技術であるDWIBS法の開発者であり、ドゥイブス・サーチの代表医師です。高原クリニックはその技術思想と品質管理を体現する専門クリニック、ドゥイブス・サーチは全国展開する無痛MRI乳がん検診サービスという位置づけで整理できます。
本記事では、この無痛MRI乳がん検診を全国規模で支える事務・問い合わせ・書類作成業務に対して、OpenClawがどのように導入されたかを紹介します。医療AIや診断AIの事例ではなく、医療機関のバックオフィス業務AI化の事例としてお読みください。

導入背景|「1日100通のメール」が、検診業務を圧迫していた
「無痛MRI乳がん検診」というサービスは、ひとことで言えば 女性の人生に寄り添う仕事だ。痛みなく、被ばくなく、衣服を着たまま受診できる──この革新的な体験は、5年間で受診者数を4.4倍に押し上げ、NPS(推奨度)は+36.2という極めて高い水準を維持している。
同時に、これだけの規模で運営すれば、当然ながら問い合わせの量も比例して増える。
高原院長
Webフォームからの新規問い合わせに加えて、担当者には1日100通ほどのメールが届きます。”いつ受診できますか””費用は””保険は使えますか””会社の健診として導入したい”──ひとつひとつ、丁寧にお返事差し上げる必要がある。でも、その分類や下書き作成だけで、担当者の時間が消えていく現実がありました
ドゥイブス・サーチ社の業務は、「乳がん検診の啓発と提供」という社会的意義のあるミッションに直結している。問い合わせには検診受診のしかたに関する重要な相談も含まれるため、一通たりとも雑に扱えない。だからこそ、担当者の負荷は深刻だった。
取り組むべき課題は明確だった:
- 新規問い合わせメールの分類・下書き:毎日100通、これだけで数時間
- 書類作成:利用申込書、見積書、工程表。CRMと連動した一貫処理が必要
- 業界動向のキャッチアップ:乳がん関連の最新ニュースを常時把握しておきたい
- 事務長業務のToDo整理:メールから抽出される無数のタスク、期日管理
- カレンダー統合:複数カレンダーが分散しており、当日の予定俯瞰が難しい
「医療従事者が、本来の業務である”検診の価値を届けること”に集中するには、まず事務作業から解放されなければならない」──そんな問題意識のもと、OpenClaw導入の検討が始まった。
選定の決め手|Mac mini が、現場の机の上で完結する
ドゥイブス・サーチ社がOpenClawに惹かれた決め手は、3つあった。
- 「現場の机の上で完結する」設計
医療機関や提携施設との問い合わせ内容、契約関連情報を扱う以上、クラウドにすべてを預ける形には抵抗があった。Mac miniに OpenClaw を載せ、必要なAPIだけを叩く構成は、医療機関の情報管理ポリシーと相性が良かった。 - CRM・Gmail・カレンダー・Slackと自然に連動できる柔軟性
既存の業務システムを置き換えるのではなく、間に挟まり、業務を”つなぐ”。これが現場にとって、導入の心理的ハードルを下げた。 - NEXT INNOVAITIONによる伴走型のセットアップ
Mac miniの初期構築から、OpenClaw のインストール、各種API連携まで一気通貫で代表の黒山が担当。
2026年3月末、ドゥイブス・サーチ社のオフィスにMac miniが届き、設置・構築が完了。そこから1ヶ月で、業務AI化の基盤が稼働を始めた。
導入プロセス|3月末スタート、1ヶ月で5本のパイプラインが立ち上がった
導入1ヶ月で構築されたAI業務支援パイプラインは、現在以下の構成で稼働している。
| # | パイプライン | ステータス | 概要 |
|---|---|---|---|
| 01 | 問い合わせメール対応 | 稼働中 | Gmail → 迷惑メール除外 → CRM登録 → 返信下書き |
| 02 | 書類自動生成 | 稼働中 | 利用申込書 / 見積書 / 工程表(CRMツールと連動) |
| 03 | 業界ニュース自動収集 | 稼働中 | 定時実行 → 乳がん関連ニュースを検索 → Slack通知 |
| 04 | メールからTODO自動抽出 | 開発中 | 受信ボックス取得 → TODO抽出 → タスク管理ツール連動 |
| 05 | 今日の予定を統合 | 稼働中 | 複数カレンダーを取得 → 1つのサマリとして出力 |
「セットアップから1ヶ月で、Mac mini が業務を肩代わりし始めた──導入時に立てた目標を、ほぼそのまま実現できた」と現場担当者は振り返る。

活用シーン|現場で起きた、3つの変化
変化①|「新規問い合わせメールが自動的に下書きされ、1分で返信完了」
もっとも大きな変化は、問い合わせ対応にあった。
OpenClawは無痛MRI乳がん検診に関する一般問い合わせや提携施設からの連絡メールを定期的にスキャンし、まず迷惑メールを自動判定して除外。問い合わせ自由テキストを分類し、CRMへ登録した上で、内容に応じた返信下書きを自動生成する。担当者は届いた下書きを確認し、必要なら微修正をかけて送信──このプロセスがわずか1分で完了する。

高原院長
以前は1通あたり10分以上かかっていた問い合わせ対応が、今は1分以内です。担当者が問い合わせを”処理する仕事”から、”判断する仕事”に変わった。これが一番大きい変化です
変化②|書類作成が、CRMから1コマンドで完結する
提携医療機関や法人顧客とのやり取りでは、利用申込書・見積書・工程表といった書類のやり取りが頻繁に発生する。これまで担当者は、CRMから情報を引き出し、テンプレートに転記し、確認・送付──というフローを手作業で行っていた。
OpenClaw導入後は、CRMと書類生成パイプラインが連動。「○○クリニック様向けの見積書を作成して」と指示するだけで、Mac mini上のOpenClawがCRMを参照し、テンプレートに必要情報を埋め込んだPDFを生成する。
変化③|業界ニュースが、毎朝Discordに届く
乳がん検診を提供する立場として、業界動向の把握は必須業務だ。新しい研究、競合医療機関の動き、関連法規の改正──情報のアンテナを常に立てておく必要がある。
OpenClawは定時実行で乳がん関連ニュースを検索し、要約してDiscordチャンネルに通知する。「朝、コーヒーを淹れる前に、その日のニュースが整理されてDiscordに並んでいる」状態が、当たり前になった。
運用の工夫|「Ollama Cloud 定額$20で、最新オープンモデルに追従」
ドゥイブス・サーチ社のOpenClaw運用には、もう一つの注目点がある。推論コストの最適化だ。
2026年4月、Claude Code 定額プランの利用条件が変更されたことを契機に、ドゥイブス・サーチ社は5つの選択肢を慎重に比較検証した。
| 選択肢 | コスト構造 | 採否 |
|---|---|---|
| Anthropic API(Opus 4.6) | 従量課金・高い | ✕ |
| OpenAI API(GPT-5.4-mini) | 従量課金・安い | ✕ |
| AWS Bedrock | 従量課金 | ✕ |
| ローカル LLM(Ollama on Mac mini) | API課金なし/16GBに上限 | △ |
| Ollama Cloud | 定額 $20/月・同時3モデル | ◎ 採用 |
選定理由は明快だった:
- 従量課金リスクなし:月額$20で固定。予算超過の心配がない
- 大型モデル(GLM-5.1)が動く:ローカル16GBでは現実的に厳しい規模
- 最新オープンモデルへの追従:クラウド側のアップデートで自動的に最新版に
- 同時3モデル運用:用途に応じた使い分けが可能
さらに、複数のMac miniをTailscaleで接続することで、ssh / vncによる遠隔管理を実現。モニタやキーボードを各端末に用意する必要がなく、運用コストも最小化された。

開発中|事務長業務の負荷軽減プロトタイプ
運用が軌道に乗りつつある今、ドゥイブス・サーチ社が次に取り組んでいるのが 事務長業務のAI化プロトタイプだ。
事務長のもとには、組織運営に関わる無数のメールが届く。承認依頼、提携先からの相談、社内連絡──そのすべてに対して「これは緊急か」「いつまでにやるべきか」「誰に振るか」を判断し続けるのは、人間ひとりの認知能力では限界がある。
プロトタイプは、こんな仕組みだ:
point
- Gmail受信トレイを OpenClaw cron が定期スキャン
- ToDoを自動抽出し、Urgent / High / Mid / Low に優先度分類
- Date型 × cron実行時刻の照合で、期日超過を検知してアラート発報
実運用フェーズでは、OpenClaw(抽出・総括・リマインド)× Discord(通知の受信先)× Plane(OSSの進捗管理基盤) という構成を構想している。

高原院長
事務長が”メールに振り回される”立場から、”メールを見て判断する”立場に戻る。これが実現できれば、組織全体の意思決定スピードが変わります
今後の展望|「KANBAN管理」「音声指示」へ
ドゥイブス・サーチ社のAI活用は、まだ始まったばかりだ。
次のステップとして検討されているのが、標準機能のKANBANタスク管理ツールとの連携。さらにその先には、音声で指示文を入力できる仕組みの実装が視野に入る。
「医療機関の現場は、PCの前でじっくり指示を入力する時間がそもそも取れない。移動中・診察の合間・夜の自宅で、声で指示が出せるようになれば、AIはもう一段、医療従事者の”分身”に近づく」──そんなビジョンが、すでに描かれている。
無痛MRI乳がん検診という社会的意義のあるサービスを、ひとり、ひとりの女性に確実に届ける。その裏側で、AIが事務を肩代わりし、医療従事者を本来の価値創出に集中させる。ドゥイブス・サーチ社の挑戦は、医療機関運営におけるAI活用の新しいモデルケースとなりつつある。
よくある質問
Q. ドゥイブス・サーチとは何ですか?
ドゥイブス・サーチは、DWIBS法を応用した無痛MRI乳がん検診を、全国の提携医療機関で受けられるようにする検診サービスです。乳房を強く圧迫せず、造影剤を使わず、放射線被ばくなくMRIで乳房を撮影することを特徴としています。
Q. 高原太郎医師とは誰ですか?
高原太郎医師は、MRIによるがんスクリーニング技術であるDWIBS法の開発者であり、ドゥイブス・サーチの代表医師です。高原クリニック イノベーティブスキャンの代表医師でもあります。
Q. 高原クリニックとドゥイブス・サーチは何が違いますか?
ドゥイブス・サーチは、無痛MRI乳がん検診を全国の提携医療機関で展開するサービスです。高原クリニック イノベーティブスキャンは、画像診断・検査に特化したクリニックです。この記事では、全国展開する検診サービスと、その技術思想・品質管理を体現する専門クリニックという関係で整理しています。
Q. OpenClawは診断や読影に使われていますか?
いいえ。本事例におけるOpenClawの活用範囲は、問い合わせ対応、契約関連業務、書類作成、情報収集などの事務業務です。個人を特定できる患者情報や診療情報は入力していません。OpenClawは医師の診断や読影判断を代替するものではなく、医療機関運営を支えるバックオフィスAIとして活用されています。
Q. なぜ医療機関の事務業務にAIが必要なのですか?
検診サービスを全国規模で運営すると、問い合わせ対応、提携医療機関との契約関連業務、申込書・見積書・工程表の作成、業界ニュースの収集など、膨大な事務作業が発生します。OpenClawは、こうした反復的な業務を自動化・半自動化し、医療従事者や運営担当者が本来の価値提供に集中できる環境をつくるために活用されています。
メッセージ

高原院長
医療機関や、社会的意義のあるサービスを運営している組織にこそ、OpenClawは効果的だと思います。事務作業に追われて本来の業務に集中できない──このジレンマを抱えている経営者・院長・事務長の方には、ぜひ一度試していただきたい。
導入1ヶ月で5本のパイプラインが立ち上がるスピード感、月額$20で最新オープンモデルが使える経済性──”試してみる”ハードルは、想像以上に低いです。
※本事例におけるAI活用は、問い合わせ対応、契約関連業務、書類作成、情報収集などの事務業務を対象としており、個人を特定できる患者情報や診療情報は入力していません。OpenClawは医師の診断や読影判断を代替するものではなく、医療機関運営を支えるバックオフィスAIとして活用されています。
📌 ドゥイブス・サーチ社が活用するOpenClaw導入の詳細はこちら
WRITERライター紹介
黒山結音
NEXT INNOVAITION 代表取締役
「AIは現場で使えなきゃ意味がない」を掲げ、30社以上にAI顧問として導入から定着までサポート。OpenClaw・Claude・ChatGPTなどAIツールを実務でフル活用し、AI駆動経営を実践。本メディアでは、実際の現場で効果が出た事例や、AI初心者がつまずく「最初の一歩」を、専門用語を極力使わずに解説します。
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